[AC]虐待を連鎖させないためには、どうしたらいいのか

これまで、何人かの方から「自分はアダルトチャイルドだと気付いた。でも、既に子供がいる場合はどうしたらいいの?」という質問を頂いてきました。

私は子供は持たない選択をした人間です。子供を持たないことが、虐待を世代間連鎖させないための一番確実な方法ですからね・・・。なので自分で試したわけではないのですが、既にお子さんがいる場合、あるいは子供を望んでいる場合で虐待の連鎖を防ぐための方法のひとつは「親子ともども、多くの人に関わってもらう」ことじゃないかなあと思います。

[AC]虐待の連鎖は「やられて嫌だったことはしなければいい」という単純な話ではない

の記事でも書きましたが、機能不全家庭の根深さは、そこに育った人間は「健全な家庭」がどんなかが分からないことです。

人は、知らないことは出来ません。

知っている人を見習うか、教えてもらうしかありません。

 子育てのアドバイザーを探す

まず出来そうなことは、健診時の保健師、保育園の保育士などのプロの中で相談に乗ってくれそうな人を探したり、子育て経験者と広く交流することでしょうか。

案外ねらい目かも、と思うのが、ファミリーサポートやシルバー人材センターの子育て支援。これらのセンターに「子育て支援出来ます」と言って登録している人は大抵は子育てがひと段落ついた女性達ですから、物理的に手助けをしてくれるだけでなく、色々なアドバイスをしてくれる人もいそうです。・・・なんて思うのも、私はこれまで、民間やシルバー人材センターの家事代行サービスを利用してきたのですが、来るスタッフさんは60代・70代の「お喋り好き、世話好きのオバチャン」タイプが多いんですよね・・・。勿論相性というものがあり、事務的な対応しかしない人、必要無い事まで干渉してくる人、色々でしょうが、何人かあたってみる価値はあるかもしれません。

日本では母親神話と三歳児神話が根強く、幼い子を保育園に預けたり他人の手を借りることに批判的なことを言う人も少なくないようですが、気にせず、どんどん他人に関わってもらうのが良いと思います。

子育て中の友人たちに聞くと、アダルトチャイルドではなくても「家という密室で喋りもしない赤子と二人きりの時は不安で仕方なかった。保育園に入れて、子供がプロの目に触れ、プロに気軽に相談も出来るようになって気が楽になった」と口をそろえます。

そりゃそうです。

・・・昔の女性達は、兄弟も多く、幼い頃から子守をし、誰かが出産するとなったら出産の世話も手伝って・・・成人する頃には子育てのやり方も、繊細な子・発達が遅い子などがどのように育っていくかも知っていたはずなんです。また、昔の女性達は農業やら商業やらの家業の担い手でしたから、赤ん坊の頃から皆が働く仕事場に寝かせておいたり他の子供に子守をさせたり、おばあちゃんや伯母さんが仕事の片手間に世話を焼いたりと多くの女性の手を経て育ってきたはず。

現代女性は幼い頃から学年別に分けられ、育児とは全く関係のない教育を受けて成人しています。「初めて接する新生児が自分の子供だった」という人も多いはず。生まれてすぐにスクっと立ち上がる動物ならともかく、ニンゲンの子みたいな、ふにゃふにゃしていて自力では寝がえりも打てずゲップも出せず、扱いを少し間違えただけで死んでしまう生き物を前にして「産んだんだから、育てられるだろう」って、そりゃ無理な話です。自信なんて無くて当たり前。

そんな風に、女性が育児については全く未知なまま母親になるのは、子供が勉強に専念できる豊かさを得た現代ならでは。「母親がたった一人、24時間、密室で乳幼児と向き合う」なんて状態も、高度経済成長期にサラリーマンが世帯を持つために、専業主婦なる立場の女性が急増して以来のことなんです。

 たくさんの人と関わる

ここで重要なのは、「頼りになるアドバイザー」は、一人には絞り込まないことです。

本当の母親(というか、アダルトチャイルドが想像する理想的な母親)のような、「この人に頼りさえすれば大丈夫」というような関係を望まないことです。自分の人生を丸投げする相手を探さないことです。

アダルトチャイルドはしでかしてしまいがちなのですが、誰かに心酔すると、相手を絶対視し、相手に過剰に期待してもたれかかってしまう。それは相手にとって重たすぎるので、大抵、その関係は破たんします。際限なく頼らせてくれる人も中にはいますが、この場合その人自身にもアダルトチャイルドの素養があることが多い。結果、共依存関係に陥りやすく、健全な関係は築きにくい。

だから、「ガッツリ頼れる人」を1人見つけるのではなく、「参考に出来る人」「たまに相談したり、弱音を吐ける人」を10人、100人、みつけることを目指す

あなたが今しているように、ネットで色々な考えを漁ってみるのもいいと思います。

・・・ここで是非、「あれ?」と気付いて欲しいのですが、「たくさんの人と、少しずつ頼ったり頼られたりしながら生きる」。これって、「自立」そのものですよね。

そうやって色々な人と交流していると、他のママ達は皆、完璧な育児をしているように思えて傷つくこともあるかもしれません。でもね。あなただって「虐待を連鎖させてしまうかも」という不安を表には出さないように、他のママ達も、家庭内の困った事をさらけ出して「自分は駄目母です」なんて言わないだけです。周りが皆完璧に見えても、自分を責めて自信を失って、母子共々密室に逃げ込んでしまわないのが重要だと、私は思います。

密室から思い切って飛び出して関係者が多い育児になれば、子供自身も、親のもとが息苦しくなったら逃げ場にできる「近所のおばちゃん」が出来る、という意味でも、子供をなるべく多くの大人に触れさせることには意味があります。

因みに我が実家は・・・誰も訪ねてこない家でした・・・。私が幼かった頃は親はまだ近所づきあいもしていたのですが、虐待が本格化した10代位ではそれも一切断っており、会社の部下のような方も来ない。親戚づきあいもない。家は言葉どおりの密室でした。

大人の世界を維持する

アダルトチャイルドに限らず、子育て中の親も、仕事、趣味、同窓生、その他大人との関係を維持し、楽しむことはとても大事だと思います。

子供がいたら、そんなカネもヒマもないよ!

という怒声が聞こえてきそうですが・・・現代ニッポンでは、カネもヒマもある時でも「世間の目(または世間の目を内在化させた自分)が許さないから」という理由で、大人だけで楽しむ時間を持つことを控える事も多々あるように思います。

趣味の繋がりで出会ったある女性は、子供はもう中学生で、趣味に出掛ける時にはちゃんと食事も作っていくし、なにより家には父親もいるのに、なおママ友に「子供を置いていくなんて!」「子育て中の母親が趣味にうつつを抜かすなんて!」と悪い噂を立てられるから趣味の話題はママ友には話さない、と苦笑していました。

母親が子供以外の世界を絶ってしまうと、母親は「子供の出来」でしか評価されなくなる状況に陥ります。子供のために趣味も生きがいも諦めれば、「趣味・子供」「生き甲斐・子供」という状態に陥ります。「子供を通じて自己実現をしたい」「母親としての自分の立場を保つために」といった理由で子供をいい子に育てようとしたり、本来は母親がやりたかった事を子供に押し付けるとしたら、それは健全な親子関係とはいえません。

私の母は常々「自分は子供のために天職だった仕事をやめた」と言っていました。私はそのたびに、生まれてきたことに罪悪感を感じていた。子供に「子供のために何もかもを捨てる母親」を見せることは子供にとってもよくないし、子供にとって「大人代表」である親が子供のために辛そうにしていたら、子供は大人になることに希望を持てないですよね。

とはいえ子供がいれば、そうそう簡単には外出出来ない時期もあると思いますが、今はネットも発達して、メールでもSNSでもなにかの片手間に他人と交流することが各段に容易になりました。個人情報には注意しつつ活用していけばいいと思います。

我が子とアダルトチャイルドである自分を一緒に育てる

ここまでは外的な支援の話でしたが、やはり一番大事なのは自分の中のアダルトチャイルドを癒すことです。

それ抜きに、単純にアドバイザーをたくさん作ろうとしても、色々な声に振り回されたり、批判的な声に傷つくだけの結果になると思います。

私は自分が子供を産んだらどうなるかを想像した時に、「親と同じ態度で子供に当たり散らす自分」「虐待されていた当時の自分と同じ目で見る我が子」に耐えられないだろうと思いました。他にも、自分は暴力を受けてきたにも関わらず、暴力を知らずに伸び伸びとワガママを言う子供に嫉妬したり、色々な感情が出てくると思います。

心がざわめく時は多々あると思いますが、それはピンチでもありつつ、インナーチャイルドを癒すチャンスでもあると思います。荒療治だとも思いますが。

子供に憎しみや妬みの気持ちが湧き上がってきた時には「私は駄目だ」と責めるのではなく、そんな思いをしながら生き延びてきた自分を褒めてあげてください。

何度でも何度でも、褒めてあげてください。

ネガティブな感情であっても、感じるのは自由です。行動に移さなければいいだけです。

あまりに心が乱れたり、暴力を抑えられないと思う時にはカウンセラーなど頼ってみるのもいいかもしれません。

虐待をしてしまう母親向けのサービスはまだあまり多くないのですが、「MY TREE ペアレンツ・プログラム」など、試みはあるようです。

カウンセラーも玉石混交です。腕がよく相性もいい人を見つける必要があります。勇気を出してドアと叩いても分かってないカウンセラーにあたる可能性はありますが、そこで諦めないことです。

 

長くなってしまいました。参考になればいいのですが。

LINEで送る
Pocket

[AC]虐待を連鎖させないためには、どうしたらいいのか」への2件のフィードバック

  1. くんくん

    管理人さん、お返事ありがとうございます。お身体大丈夫でしょうか?どうか無理なさらないでくださいね。しばらく記事が更新されていなかったので心配していました。さすが管理人さん、どの記事も深い内容でした。頭の良い方ではないと書けない内容です。日本中がいろいろな災害で大変です。実際にこの夏からの災害で精神的な病を抱えている方が避難所にいらっしゃるかもしれません。私は薬が大量に必要でひとりで静かになじんだ寝具で寝ないと眠れません。避難所で生活することは私にはできないと思います。でも避難所で無理に生活せざるえない方もいらっしゃるかもしれません。大変な思いをされている方、少しでも早く普通の生活に戻れるようお祈りしています。こうして安心して自宅で生活できるだけでも有り難いと思って生きないといけないな・・・と今は思っています。先日膀胱炎になって熱が出てしまいました。今年は帯状疱疹で入院もしましたし、免疫力が弱っているのかな、とも思っています。急に涼しくなりました。みなさんどうぞご自愛ください。

    1. うつリンク管理人 投稿作成者

      お返事遅くなってすみません。膀胱炎、おさまりましたか?
      何度も書きかけはしたのですが、文章にならない・・・という状況が続いていました。
      仕事ではないので、そんな時は無理せずいこうと思っています。

      今年ややたらと災害が多いし、秋も秋で気温や気圧の変動がひどくて辛いですね・・・。
      私も睡眠障害がひどいし免疫力が異常なほど衰えているので、災害がおこっても避難所には行けないなあ、と思っています。

コメントは停止中です。