光景

私が親からの虐待を、初めて本格的に話した相手は、中学校で部活が同じだった子だった。

私たちは同じ学校に通っていて、同じ授業を受け同じ部活をしていたから

私は長いこと、私たちは同じ光景を見て育ったと思っていた。

けれど私が親に殴られた跡が制服や体操服からはみ出して見えてしまわないかを鏡で確認している間、彼女は「暴力に怯える」ことのなんたるかを知らずに暮らしていた。

私たちは同じ漫画を回し読みして育ったけれど、私は漫画で家族愛なんかのシーンは「漫画ならではの薄っぺらいストーリーだ」と冷めた目で読み流した。彼女は、家族が暴力を振るう、なんてのは漫画の中だけの出来事だと信じていた。

私たちは確かに同じ学校に通い、同じ授業を受け同じ部活をして、同じ漫画を回し読んで育ったのだけど

二人が見ていた光景は全く違っていたんだ。

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光景」への2件のフィードバック

  1. あさぎ

    以前、朝日新聞に載っていた記事で、虐待された人は脳が変形するというのを読みました。

    小児神経科医・友田明美さんの特集記事です。
    友田さんは、最先端の脳科学の研究をしようと米国に留学、虐待が脳に与える影響についての研究に携わりました。
    虐待の体験のある人とない人の脳を比べると、暴力や暴言、家庭内暴力の目撃など大人の不適切なかかわりによって子どもの脳が変形するという衝撃的な結果が出たそうです。
    以来、虐待のもたらす重大な結果を伝えると同時に、虐待を防ぎ、その影響を最小限にするのが、自分の使命だと思い定めているそうです。
    いまは福井大学子どものこころの発達研究センター教授として研究を続けながら、全国から訪ねてくる親子を診療しているそうです。

    その友田さんの言葉「親が変われば子供も変わります」
    「生物として生き残るための適応でしょうか。
    人間の脳は生まれたときは300グラムですが、様々な体験をして成熟していきます。
    その大切な時期に、強いストレスがかかると、苦しみを回避しようとするかのように脳が変形していきます。
    その脳の傷によって、後に暴力的になったり、感情を制御できなかったり、人間関係がうまくとれなかったりするのです。
    薬物依存やうつなどにもなりやすくなります。」

    以上が、朝日新聞デジタルで無料で読める部分を写したものです。
    これ以降は、私が読んだ記憶から書きます。(なので詳細部分は間違いがあるかも)

    暴言を浴びて育った子供は、脳の聴覚の部分があまり発達しなくなるそうです。
    暴力を受けた子供は、脳の前頭葉の部分が変形。
    感情の抑制がうまく出来なくなるそうです。

    私自身は、普段は穏やかでおしとやかな人に見えるそうですが、ほんの時々ブチ切れることがあります。
    相手が家族だろうが、会社の上司だろうが、関係ありません。
    周りから見るとびっくりするくらいの変化だそうです。

    自分自身ではそれは当然の感情の変化で、「誰だって怒ることあるでしょ?」くらいの感覚でいたのですが、この記事を読んで、やはり自分の脳が変形していて感情を制御できず、暴力を受けていない人には理解できないぐらいの爆発だったんだろうな・・・と考えるようになりました。

    友田さんの記事では、暴力を受けて脳が変形したのが子供であれば、まだ改善の余地はあるそうです。
    でも私のようにもういいオトナともなってしまうと・・・。
    さらにウツともなってしまうと・・・。
    ・・・たぶん治らないんだろうな、年齢による脳の萎縮も始まるだろうし・・・といった感覚です。

    でも自分自身の長年の疑問が、この記事によって解消されたような爽快感はありました。
    トキワさんにも知っておいてほしい情報です。

    1. うつリンク管理人 投稿作成者

      情報有り難うございます。

      幼少時の虐待が脳に影響を与える、という本は読んだことがあります。
      他にも、長年ストレスにさらされるとストレスに対応するためのホルモンを出す副腎が弱ってしまって対応できなくなるとか、原因不明の疼痛を抱える患者に虐待歴がある人が多いと指摘する医師もいます。

      溜め込んでキレる、等の性格については、虐待がある家庭では健全なコミュニケーションも出来ないので、大人になる頃にはもうどこまでが脳の話でどこからが「教育」の結果なのか区別がつきませんが

      あさぎさんは爽快な気持ちになったのですね。
      私は子供は親を選べないのに、やっとの思いで成人しても負の影響は一生続くのだと思うと絶望的な気持ちになりました・・・。
      そういうものだと割り切って諦めるしかないのでしょうね。

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