NHKクローズアップ現代、結論ありきの糖質制限批判

あらかじめ書いておきますと、私は糖質制限信者ではありません。
私がこの番組を観て疑問に思ったのは、糖質制限の是非ではなく、クローズアップ現代の報道姿勢でした。

糖質制限ブーム! ~あなたの“自己流”が危険を招く~

糖質制限がブームだそうで。

糖質制限がブームだそうです。
これまでも色々なダイエット法がブームにはなってきたけれど、半年位で下火になったのに対し、糖質制限は、年単位でブームが終わらない珍しいケースなのだとか。

そもそも、糖質制限というのは。

普段私達は「糖質」つまり炭水化物や砂糖をはじめとする糖を分解して出来るブドウ糖などをエネルギー源として使っているのですが、糖質を制限する生活を送っていると、体はブドウ糖の代わりに、脂質を分解して出来る「ケトン体」なる物質をエネルギー源に使い始める。この体質になれると肥満だった人は、筋肉量はあまり減らさずに適正な体重・体脂肪量に落ち着いていき、また血糖値の乱高下などからくる体調不良に悩まされることなく健康的な生活が送れます。

という理論であって、実践方法は「食事中の糖質(主食や、一部の糖質の多い野菜・果物)はカットし、代わりに肉や油を十分に摂る」ことであり、カロリー制限や食べる分量の制限はしないのが特徴です。
例えば、主食を抜く代わりにおかずを二人前頼むのが正しい糖質制限のあり方です。

このケトン体云々の理論に「否」を突きつけたり、タンパク質や脂質を摂り過ぎること・糖質を摂らなさすぎることによるデメリットを唱える学説はあるのではないかと思います。それは議論されてもいいと思います。
私もそこに興味があって番組を観ました。

・・・が。

先日のクローズアップ現代は、そんな次元の話はひとつも出てこないまま、糖質制限とは関係ない例しか挙げていないのに、いきなり結論は「糖質制限はいけません」に落ち着くという、結論ありきで論理破たんの甚だしい構成でした。。。

悪意の誘導を感じる番組構成

クローズアップ現代のトップでは、こんな恐ろしいメッセージが大々的にナレーションされました。

「極端に糖質を制限したせいで体調を崩すケースが相次いでいます」
「極端な糖質制限を続けると、将来生活習慣病を患うリスクがある」

けれど、フタを開けてみると、糖質制限ではない理由から健康を害した人達を、糖質制限の害であると結論を飛躍させて紹介しているのです。

番組内で、糖質制限をしたせいで健康を害した例として一番大きく紹介されたのは、「糖質制限」で数十キロ減量した代償に救急搬送されたという男性の話。
でも、内容をしっかりと観てみると、件の男性は「糖質制限」と銘打ってキャベツと鶏肉ばかりを食べまくり、一か月で10キロ減量できたことから「想像を超える成果にゲーム感覚でのめりこんでいった」結果、夕食を抜いたり、糖質制限でも問題ないとされている食材も食べるのを拒絶し、ついに倒れた人でした。

・・・成人男性は一日2000kcal/日の摂取必要なのに対して、件の男性は500kcal/日しか摂っていなかった。その上の、極端に偏った食事。
普通に考えて、これは糖質制限ではなく闇雲な食事制限・偏食からくる栄養失調ですよね・・・。

繰り返しますが、糖質制限は糖質を多く含む食材を摂らない代わりにタンパク質や脂質を積極的に摂り、食事の量やカロリーは制限しないというダイエット方法ですから、この男性のケースは糖質制限には全く当てはまらない。
男性自身も「似て非なることをやると危険を伴う」、つまり自分が行っていたことは糖質制限ではなかったと認識していることをうかがわせる発言をしています。
他にも、たったひと月で10キロ減ったことから「ゲーム感覚でのめりこんでいった」、そして「ランナーズハイ」状態で、急激に減っているのにさらに減量をエスカレートさせていったあたり、「拒食症」に通じる精神状態であったこともうかがわせる例でした。
なのに何故か、番組では男性が倒れたのは「糖質制限の結果」であると結論付けている。

そもそも、ある物事を科学的に立証したければ、「その物事以外は同じ条件」にして比較するのが、科学的証明の大原則です。
糖質制限の害を訴えたければ、糖質以外は、カロリーも栄養素も十分に摂っていたのにも関わらず何らかの健康被害が起こったというケースを取り上げなければならない。
闇雲な食事制限であらゆる栄養素もカロリーも不足する食生活を送っていた人が、糖質をも食べていなかったことをもって「糖質制限で健康を害した」と結論づけるなど、論外なのです。

この他の文脈でも、「拒食症」と言っていい状況と糖質制限を混同して解説したり、単品のみ食べ続けるようなダイエットと並べて語ることで暗に単品ダイエットと同列の方法であると印象付けたり、はたまたわざわざチャンポン屋に行って麺を入れるなと注文する客のような、単に非常識な客の例を取り上げては糖質制限を批判し・・・結局、正しく糖質制限を行っていたにも関わらず、健康を害してしまった人の例はひとつも紹介されませんでした。

「とにかく糖質制限を叩きたい」という論調で「コメや小麦の業界からカネでも掴まされたのか、ウエが強硬に糖質制限の害を訴える番組を作れとゴリ押し、物言えぬ制作会社が無理矢理ストーリーをでっち上げたのか。」
そこまで疑うしかないような内容でした。
番組のサブタイトルが「~あなたの“自己流”が危険を招く~」となっているあたりが、最後の良心でしょうか。

「民法ならいい」とは言いませんが、公共性が高いという名目で国民から受信料をとって制作するNHKが、これをやったらいけないと思うのですが・・・。

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