[ニュース:電通本社 夜10時に一斉消灯 過労死自殺受け]・・・根性論では残業はなくならない。

電通本社 夜10時に一斉消灯 過労死自殺受け

大手広告会社の電通は、新入社員だった女性が去年、過労のため自殺した問題を受けて、24日から深夜勤務を原則として認めないことにし、夜10時に本社のビルを一斉に消灯しました。
電通は、新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年12月、過労のため自殺した問題などを受けて、24日から夜10時以降の深夜勤務を原則として認めないことにしました。

東京・港区にある電通の本社ビルでは、10時を前に社員が次々と退勤を記録するゲートを通り帰宅していました。そして、10時になると48階建ての本社ビルの照明が一斉に消えました。ビルの管理室で操作して各フロアの照明を消したということで、当面、全国の支社も含めて午後10時から翌朝5時までは照明をつけないということです。

電通では、このほか労使協定で決めている残業時間の上限を来月1日以降、月70時間から65時間に引き下げるなどして、社員の労働時間を抑制していくことにしています。

電通広報部は、「社員の健康維持と法令順守のために労働環境の改善に全力で取り組みます」と話しています。
NHK news web

まあ、ポーズなんでしょうね。
さすが広告会社。
自社のイメージ回復キャンペーンも、見た目にインパクトのある形で打ち上げることにしたということでしょうか。

私は広告業ではないのですが、私が勤めていた会社も残業が問題になっており、定時退社日がありました。

皆、嫌々帰っていました。

勿論、残業が好きなのではありません。
定時退社日があっても、その日こなすはずだった分の業務を誰かが代行してくれるわけではない。
毎日残業すれば終電には帰れてそれでギリギリ仕事が回ってる。
そんな業務量の中で一日早く帰ると、業務が回らなくなって徹夜が必要になる。
単純に、負担が増すのです。

「こんな業務、無駄だよね」「この量の業務はこなし切れない」
と感じていても、下の社員には指示された仕事を放棄する裁量はありません。

では上の、仕事の総量を減らす裁量を持った人たちは、定時退社日の設定にあたって仕事量を減らす措置をとったかというとそんな話は全くなく、それどころか「定時です、退社しましょう~」と、残業している社員に声掛けに来る社員を配置して・・・仕事、増やす始末でした。

電通は広告の会社ですからね。
・・・広告開始の日は決まっていて先延ばしできないし。
クライアントの新製品をお披露目する広告がお披露目の日までに出来ていなければ、物凄い額の損害賠償問題に発展してしまいます。
「時間だから帰りなさい」と言われて帰れるもんじゃありません。
本当に労働環境を改善したいと思うなら消灯したり、月65時間なんて非現実的な目標値を設定するのではなく、締め切り明けには体力と気力が回復するまでまとめて休んでOKとするなど、労働時間に裁量を持たせることの方が余程現実的なはずなのですが・・・。

日本という国は、無為無策のまま根性論と弱者批判をすることで「対策してます」というポーズを取る事が多いですよね。

景気の悪化や機械化で若年失業者が続出すれば「最近の若者は怠けもので働きたがらない」と若者に原因があるかのように若者を責め、職が無いのに働けと迫る。
少子化は、若者と子供が生き辛い世の中になった「結果」なのに「最近の女はわがままだから次世代を育てない」と女性を責め、安心して子育てを出来る基盤が無いのに産めと迫る。
自殺率が増えると自殺防止月間なんてのを作り「自殺はやめましょう」なんてポスターを街中に貼り出す。自殺の原因である貧困などには手を付けずに、生きろと迫る。
今度は仕事を減らさないままに、社員に帰れと迫る。

キャンぺーにお金をかける。根本的な改善はしない。

末端の社員達は、残業しましたという履歴を残すことすら出来ぬまま自分のパソコンなどで効率の悪い業務をこなすのでしょう。
「残業代なんてもらってない」という社員は日本には大量にいます。
残業代の不払い自体いい状況とは言えませんが、過重労働が不可視化されてしまうことは、もっとよくない。
過労死しても訴える術すらなくなるのですから。

私も過労死をしかけて健康と人生を奪われた者の一人です。
消灯キャンペーンと残業時間の数値目標の設定で目先のイメージをいじくる事に終始するのではなく、電通を含む日本企業の、この残業過多と根性論の体質が本当の意味で変わっていくことを祈るばかりです・・・。

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