うつ病の記憶力低下

うつ病になると、記憶力が低下します。
全部の記憶力が一様に落ちるわけではなく、低下の仕方が独特なように思います。

集中して覚えようとした物事は、それなりには暗記できる

・・・「健康な時と同等」とまでは言えないのかもしれませんが、まあまあ暗記できます。
たとえば私はうつ病になってから、簿記の勉強を始め、短期間で二級を取得しました。
また、その時の知識を応用して個人事業主としての帳簿(青色申告)も付けています。
Web制作等の知識もうつ病になってから身に付けたものです。

少なくともうつ病になったら何も記憶できなくなるということはないと感じています。
「意図的に覚えようと努力したものを覚える記憶力」は、うつ病でも失われにくいのかもしれません。

集中していない物事を覚えていられる能力がガクリと下がった

テレビの「ながら観」も出来なくなりました。
料理やら別の事をしながらテレビの筋も追う、というあれです。
ドラマなど、さほど複雑なストーリーのものでなくても、他の事はすべて止めてテレビのみに集中して観るのでなければまったく筋が追えなくなってしまいました。

一度に複数のものを覚えていられなくなった(ワーキングメモリの障害)

一方で、「ワーキングメモリ」の容量が物凄く小さくなったのを感じます。

ワーキングメモリ (working memory:作業記憶,作動記憶) とは,短い時間に心の中で情報を保持し,同時に処理する能力のことを指します。会話や読み書き,計算などの基礎となる,私たちの日常生活や学習を支える重要な能力です

児童・生徒のワーキングメモリと学習支援より)

人は意識していなくても大体「あれと、これと、それ」という感じで複数のことを頭に入れておいて効率的に処理をしているものです。

たとえばうつ病になると困難になる作業のひとつに「料理」がありますが、
料理は、余程の初心者以外は
「鍋で根菜を下ゆでしながらレンジでは肉を解凍し、別の野菜を切って、次に調味料を合わせて・・・」と色々な事を同時進行でこなしています。
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それが、うつ病になってからは一つの事しか頭に入れておけなくなります。

段取りを付けることが難しくなるし、別の事を考えた瞬間に火をつけていた事すら忘れてしまうので、火を使っている間はいっときも目を離すことができなくなりました。
・・・「火から目を離さないのはうつ病でなくても当たり前」かもしれませんが、
火を付けている間中、鍋の前で仁王立ちしてガン見し続けなければならないレベルで目を離せなくなりました。
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「物忘れ」も激しくなった。
出がけに忘れ物を思い出して、部屋に戻る頃には何を忘れていたかを忘れてしまう。
どうしても思い出せないので戸口に戻ると、
鍵を部屋に置き忘れていたと気付いて戻るが、部屋に戻る頃には・・・のループに入ることもしばしば。

経験したものごとを覚えていられない

これら「集中して覚えようとしたこと以外覚えられない」結果、何かを経験しても・・・たとえば旅行をしたとしても、地名やそこに至るルート、旅先で起こった小さな、しかし旅の幸福感を与えてくれる諸々の出来事を覚えておくことが難しくなります。

旅行だと気付きやすいのですが、日々の生活でもそうです。
長年の趣味を同じくしてきた友達がいるのですが、普通は・・・歳月を重ねるごとに共通の思いでが増えて語り合うことが増えていく・・・ものだと思うのですが、私の場合はあれもこれもそれも覚えていられないので、長く付き合うほどに相手との記憶の量に差がついてしまう。「共有できない」辛さを感じることが増えてきてしまいました。

うつ病者は主観的には「物凄く頭が悪くなった」と感じている

うつ病では知能の低下はないと言われています。
現に知的な会話も出来るし、このように文章もまとめられるし、
記憶力のすべてが失われるわけでもないので、傍からは問題ないと思われがちですが

うつ病者は主観的には「物凄く頭が悪くなった」と感じますし
実際に、日常生活において、非常に大きな困難に直面しているのです。

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