当事者がうつ病を語る意味

うつ病は「心の風邪」と言われ、 今は本もサイトも啓蒙パンフレットも豊富にそろっています。
これらの啓蒙活動は確かに一定の、目覚ましい効果を上げました。

本人や周囲が初期に「うつ病かも」と気付けることは早期治療と早期回復につながります。うつ病や精神科への偏見やハードルが低くなり、(以前と比べれば、でしょうが)気軽に受診できるようになったはずです。

私のように、身体が重くひどく疲れやすく、あちこちが酷く痛くなり苦しくなり、「何かおかしい、絶対におかしい」と藁をもすがる思いで内科や婦人科で散々検査を受けても延々異常が発見されず、医者には「そんなに病気になりたいんですか?あらゆる検査をすれば気が済みますか?」と冷ややかに突き放され、上司や同僚からは詐病を疑われて益々追いつめられていく・・・結果、とことんまでこじらせてしまう。そんな患者が、減ってきてはいるのではないかと期待します。

ただ、うつ病の説明はどこか紋切型で教科書的なものが多いと思うのです。
つまり、うつは心の風邪に過ぎず、病院に行って薬を飲んで休養すれば必ず治る・・・ような印象を持たせる書きぶりのパンフレットや啓蒙サイトばかりが溢れています。

うつ病も、初期に発見でき、薬もよく効き、「教科書通りに」回復していく人はいいのです。
でも、現実には薬が効かない人もいる。数か月どころか何年も治らない人もいる。
紋切型で教科書的な情報が世間に浸透するほどに、今度は典型的な予後を辿らない人達が追いつめられていきます。

「うつ病が治らないのは正しい治療を受けていないからでしょう」
「うつ病が何年も治らないのはおかしい。うつ病を言い訳にしているだけのはず」
教科書的知識だけでうつ病を分かったつもりになっている人から投げかけられる言葉に、追いつめられていきます。

教科書的な普及パンフレットだけでなく、もっと生身の当事者の声が…教科書的な経過をたどっていない人達の声があってもいいと思うのです。

私はうつ病をり患して15年を越えます。
あらゆる薬や治療法を試してきました。にも関わらず、一度も寛解していません。
そういう人達の声がもっとあっても、いいと思うのです。

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